【風水と五行説】陰陽師 安倍晴明が用いた陰陽五行説・陰陽道

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風水に欠かせない知識として「陰陽五行説」があります。「陰陽五行説」は「陰陽説」と「五行説」が組み合わせられたもので、前回ではその陰陽五行説の中から「陰陽説」について説明しました。

今回は「五行説」について、可能な限りわかりやすく説明します。風水だけではなく、「五行説」は日本の文化などいろんなものに奥深く関わっているので、こちらについても今回の記事で理解しておいてください。

前回の「陰陽説」と今回の「五行説」については、知っておいて損をすることなど何一つない筈ですので、日本人であれば知っておきたいところでもあります。

自分の知識の一つとしてでも良いので、頭の中に入れておいてくださいね。

五行説とは?

五行説は、中国で陰陽説より後に考えられたと言われているのですが、はっきりとした年代などはわかっていません。五行説を簡単に説明すれば、全てのもの(万物・宇宙など)は五つのもので作られ、成り立っているという思想で、世の中にある幅広いカテゴリーのもの全てがこの五行に当てはまります。

そして、その思想が「陰陽説」と組み合わされることによって、五行で分けられているカテゴリーも全て陰と陽に別れるようになり、全ての説明が詳細にできるようになったのです。

肝心な五行については、可能な限りわかりやすく説明していきます。

日本に五行説が伝わった時代

日本に五行説(陰陽五行説)が伝わったのは、風水と同じ時代になります。その時代に中国発祥の哲学的な思想などがたくさん日本に入ってきたようで、ほとんどが百済から日本にわたり、現代でいうところの韓国人から伝わりました。

そして、ここでも関わってくる超有名な歴史上の人物は「聖徳太子」です。おそらく、聖徳太子がいなかったら日本の文化や宗教的なところ、世の中というよりは「日本」は、今のようになっていなかったかもしれません。

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風水と五行説

風水の先生方が執筆している本などでは、必ずと言って良いほど「陰陽五行説」について触れています。前回の「陰陽説」と今回の「五行説」の説明でその陰陽五行説がなんとなくでも理解していただけることを信じ、可能な限りわかりやすく説明していきます。

「五行説」の五行とは、世界の全てが五つの要素によってできていて、循環しているという思想です。

五つの要素とは「木・火・土・金・水」なのですが、これが五行説の基本の五つの要素になります。

そして、その五行が発展していくといろんな物が五つに分けられるようになりました。

例えば五臓六腑の五臓もそうです。これについては後ほど説明します。

風水と五行の関係は、「陰陽五行説」が取り入れられてからになるのですが、五行と陰陽が組み合わされ、また、暦・易なども加わり日本独自の風水が出来上がるのです。

日本の風水の中でも「陰陽五行説」は、欠かせないものになっていますのでその「陰陽説」と「五行説」について理解することが風水の大部分を理解することにもなります。

五行説は日常生活などに根ざしているものも多く、知ることで風水だけではなくいろんなものや事がつながってくるので、意識するようにしてみてください。

五行

では、五行とは一体何でしょうか?まずは五行の基本中の基本である「木・火・土・金・水」について説明します。

木・火・土・金・水とは?

五行の基本中の基本にある「木・火・土・金・水」は、世の中の全てがこれらのエレメントにより作られ、循環しているということです。

これら五つのエレメントについて簡単に説明すると「木は燃えて火を生み、肺になって土になり、土の中では金(金属・鉄など)が作られ、金には水滴が付き、また、液状になって金(金属・鉄など)が自然に還る。」という流れになります。

このように五行が考えられていた時代に身近にあったものである「木・火・土・金・水」で思考を深めていったという説もあれば、地球から見える他の惑星に当てはめたという説もあったりします。

地球から見える他の惑星という説に関しても間違いではなく、方位や色など他の当てはまる要素が加えられると惑星説もあながちデマではないと考えられますが、「身近にあったものからの思想」という説の方が、五行を知っていくと納得できるものばかりですしわかりやすいので、この辺はあまり深く追求しない方が良いと思います。

相生(そうじょう・そうしょう)

相生の関係にあるものというのが五行にはあります。それは、反発し合うことではなくお互いを活かすことになるということです。反対にお互いを活かさないことになる相克・相剋というのもありますので、それぞれ説明していきます。

相生とは相性が良いためにお互いを活かし合い、循環していくということになります。

水生木:水は木を育てる

木生火:木は燃えると火になる

火生土:火は燃えると灰になり、土となる

土生金:土の中では金(金属・鉄)が生まれる

金生水:金属は水が表面につき、腐敗していく(液状になる)と水になる

というようにそれぞれが、必要としているもの同士が影響を与えることにより変化していくというのが相生です。

相克・相剋(そうこく)

相生とは違い、相克・相剋は相性が悪くお互いを打ち消しあってしまうことになります。(相生の画像参照)

水克火:水は火を消すことができる

火克金:火は金属を溶かす

金克木:金属は木を切断することができる

木克土:木は、土の養分を吸い上げてしまうため、土の栄養を奪い、土を押し除けている

土克水:土は水が流れているのを止めることができる

というように、相克・相剋とはお互いを打ち消しあってしまうという相性の悪い状態を指します。こうなると相克・相剋がないようにした方が良いと考えてしまいますが、相克・相剋をよく考えてみると、必要なことではある訳です。

火が燃え続けてしまえば良くない事は誰でもわかりますよね。そして、火を消すには水が一番です。そういうように考えるとお互いが反発しあって打ち消してしまいますが、それは、バランスを保つためにも必要な事なのです。

相生はプラス。相克・相剋はマイナス。というように考えておいてくとわかりやすいと思いますので、覚えておいてください。

世の中にはプラスとマイナスの両方が必要という事なので、マイナスが悪いものという考えをせず、プラスとマイナスがあるからバランスが取れているというように頭に刷り込んでください。

今の世の中は、良い悪いで判断するようになっているように感じることが多いとは思いますが、良い悪いが善と悪だとするならば、善があるから悪があり、またその逆も然りなのですから。

比和

次に比和と言って、五行の要素がお互いに一緒になる(結びつく)ことによって強くなることを指します。木と木、火と火などのようにお互いに同じ性質のものが組み合わせられることで、強さが増しますが、悪い状況が重なればどんどん悪くなっていくように、必ずしも良い方向にだけ向かうというものでもないというのが比和です。

サイクル(循環)

ここまでくると、良い悪いという感覚だけではないということがおわかりいただけるかと思います。世の中にある全てはバランスが取れていてこそ、初めて良い方に巡りだすということなのです。どちらか片方だけが動きすぎてもいけません。

それが風水で考えているところの「気」というだけではなく、世の中の全てのものに通じるものなのです。「気」であっても何であっても、バランスが取れている状態で循環(サイクル)することが一番良いということなのです。

五行が当てはめられているもの・当てはまるもの

ここからは、五行が当てはまるものを紹介していきます。日本の文化的なことなども五行が当てはまったり、食・体・東洋医学などいろんなところに五行が当てはまりますので、覚えておいて損はないと思います。

わかりやすいように表にしましたので、じっくり確認してみてください。

五行表(プラス陰陽)

五行
五行の方位中央西
五色青(緑)黒(玄)
五時(季節)土用
五日木曜日火曜日土曜日金曜日水曜日
五情
五臓心(心包)
五腑小腸大腸膀胱
五指薬指中指人差指親指小指
五味鹹(塩辛い)
五獣青龍朱雀麒麟(黄龍)白虎玄武
五竜青竜赤竜黄竜白竜黒竜
五畜
五穀麻・胡麻黍(きび)大豆
五菜韮(ニラ)薤(らっきょう)山葵(ワサビ)葱(ネギ)藿(かく:豆の葉のこと)
十干甲・乙丙・丁戊・己庚・辛壬・癸
十二支寅・卯・辰巳・午・未なし申・酉・戌亥・子・丑
八卦雷・風山・地天・沢
九星三碧・四緑九紫二黒・五黄・八白六白・七赤一白
陰陽

まだまだ五行に分けられるものがたくさんあるのですが、上記の表ではごく一部を紹介しました。この辺を押さえておけば風水などでは大体はまかなえると思いますので、じっくり確認してみてください。

最後の行には「陰陽」も記載しておきました。これで「陰陽五行説」がわかりやすくなってくると思いますし、また「十干」「十二支」「八卦」「九星」などは特に、日本の風水では欠かせないものになっています。

風水について知識のある人はお馴染みのものが多いと思います。占いなどでもよく目にする九星なども五行に分けられていますので、これが風水とどのように関係しているのかというのは、後々の記事で説明させていただきたいと思っています。

東洋医学的な五行

上記表で東洋医学的な五行の見方や理解の仕方を説明します。

例えば、金の行をみてください。五時(季節)では「秋」です。「秋」は段々と寒くなってきて温かくしたくなる季節ですよね。温かくすることで免疫力がアップするので、風邪などを寄せつけなくなります。その辺を考えながら表を確認してください。

「秋」に温かくするには「生姜」や「葱(ネギ)」などを摂取することで体が温まりますよね。「生姜」や「ネギ」の香味料は肺に良い食材と言われています。表にも金の行に肺がありますよね。そして、「生姜」や「ネギ」の色は白(白っぽい)ですし、五味にあるように辛味のある食材です。

また、五臓は肺ですが、五腑は大腸になります。そして、五指は親指となっています。このところは、親指の付け根にある合谷というツボがあり、そのツボはかなり万能なツボなのですが、大腸に効くと言われています。

いかがでしょうか?かなり全てのものが繋がっていると感じることができますし、東洋医学的な観点でもこの五行が当てはまることがご理解いただけたかと思います。

十干とは?

上の表で少し出てきましたし、前回の記事でも「きのえ」などが出てきたので、十干について説明します。

前回の記事でも少し触れた十干は陰陽と五行を合わせると、暦にある「きのえ」「きのと」「ひのえ」というようになり「え」がつくものは「陽」、「と」がつくものは「陰」となります。

これも中国で考えられた1ヶ月を10日で区切り、その1日ずつに名前をつけたものです。よくその月の上旬・中旬・下旬などといいますが、これもこの十干に合わせて、1ヶ月を10日で区切ったものです。そして、それに五行や陰陽を組み合わせ、音読みと訓読みで分けたのが十干です。

「甲・乙・丙・丁・・・・」:音読みで読めば「こう・おつ・へい・てい・・・」となり、訓読みで読めば「きのえ・きのと・ひのえ・ひのと・・・となります。

十干漢字音読み
きのえこう
きのとおつ
ひのえへい
ひのとてい
つちのえ
つちのと
かのえこう
かのとしん
みずのとじん
みずのえ

この十干に関しては、別の機会に詳しく説明したいと思っています。

また、感の良い方や漫画、アニメで「鬼滅の刃」をご覧になった方は気がついたかもしれませんが、鬼殺隊の隊員、隊士、柱などの階級にこの十干が使われています。風水に興味がなくても大人気漫画で使用されているとなれば、俄然、興味が湧きますよね。

十干の詳しい説明は、別の機会までお待ちくださいね。

そして、陰陽五行説

そして、日本の風水に取り入れられた「陰陽五行説」。日本の風水がこの陰陽五行説を加え、更に五行の表にある「十干」「十二支」「八卦」「九星」を加えることで占い的な要素も加わり、独自の発展をしていくことになります。

ここまでくると、なんとなくでも風水的なことや陰陽五行説がわかっていただけるようになったたかと思います。

この陰陽五行説を理解することで、「気」というものがどの方位がということなどがはっきりしてきますし、気に対する色や物などが説明できるようになりますので、風水には陰陽五行説が必要不可欠なものなのです。

目には見えない「気」というものが「陰陽」で説明されるように世の中の万物がは「陰と陽」に分けられて、「陰と陽」での性質の違い、そして、「五行」によって世の中の全てのものが細かく五行に分類されて、その分類された五つの行に合う全てのものが「気」を良くも悪くもする。

「陰陽」とは宇宙のように大きいカテゴリーや全てのものを「陰と陽」に分けたもので、「五行」とは世の中の全てを「陰陽」よりも更に細かく五行に分けて説明したものだと覚えておけば、今後続く風水について、理解が深まることになりますよ。

日本の文化?それとも都市伝説?と思うような食べ物の五行説(陰陽五行説)

表には五行が当てはまる季節や臓器について書いてあると思いますが、それらをここにピックアップしてみると「木=春=肝臓(胆)」があり、「胡麻」と「韮(ニラ)」が同じ行にあります。

ちなみに「行」というのは、「動く・めぐる」という意味です。

さて、ここで「木=春=肝臓(胆)=胡麻=韮(ニラ)」を説明しますと、春という季節は、冬に蓄えすぎた栄養素を代謝しなくてはならない季節ですので、そうなると臓器で一番酷使されるのが「肝臓」になります。

そこで、食べ物で肝臓に良いものを摂取する必要が出てくるのですが、それが「胡麻」になります。更には、ここで色を見ると「緑色」が「木の行」に当てはまる色ですので、「韮(ニラ)や他の緑色の野菜を摂取すると良い」ということになるのです。

いかがでしょうか?

とても面白いと思いませんか?

土用丑の日

夏の暑い時期になると「土用丑の日」がありますが、これもこの五行が関係しているのです。

日本独自の習慣である「夏の暑い時にうなぎを食べる」というのは、五行に当てはまる夏の「火」の気を消すためには「水」の気である「丑」を食べると良いというところから来ています。というよりも相克・相剋がここで当てはまる訳です。

「水は火を消すことができる」というところにピッタリ当てはめてみてください。

夏の暑さは「火の気」です。それを消すには「水の気」でなくてはなりません。「火を消すのは水」になるので、そこで「水の行にある十二支の丑を食べる」ということになります。しかし、当時の日本では丑は高級食材で中々手に入るものではありませんでした。

そこで、同じ「う」で始まる名前で「水中」にいる食材である「うなぎ」に白羽の矢が立ちました。ですので、今になっても「土用丑の日」で漢字では「丑」を使っていても食べるのは「うなぎ」となる訳です。

もちろん、「丑を食べても良い」ということになるので、丑とうなぎのどちらを食べるのかはお任せします。本当は丑を食べることが正しくて「うなぎ」は駄洒落や頓知のようなものと考えられなくもありません。

ですが、考えてみると夏の暑い日にバーベキューや焼肉で丑(牛肉)を食べている現代では、知らず知らずのうちに風水の中の陰陽五行説を自然としていることになるとも考えられませんか?

そして、「土用丑の日」の土用とは?となると思うのですが、土用がある行を表で確認してください。五行の「土」の行になり、方位では中央となっています。これは季節に当てはめると、全ての季節の変わり目が「土」ということになるのです。

ですので、表でも他の四行には季節が割り振られているのですが、「土」には「土用」とありますよね。

これは、季節が夏に変わる時というのは例えるなら「春でもなく夏でもない時期」で中立的な位置。ですので方位でいうところの中央であり、火の気を水の気で消せば中和されるというように解釈できると思います。

だから「土用」となっている・・・・。

信じるか信じないかは・・・・。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

日本の風水において絶対必要な「陰陽五行説」の中でも、更に分割して「五行説」について説明しました。

もし、まだピンと来ていないくても大丈夫です。これから風水のことについて述べていく中で、必ず繰り返すことになりますし、風水は簡単なようでとても壮大なものですから、このような感じというのを今回の記事でわかっていただくことで、これから続く風水記事の内容が、今までよりもっと理解が増してくるはずです。

今後の内容のためにも今回の記事で、このようなものが「五行説」だとなんとなくでも理解し、「陰陽五行説ってこんな感じなんだな」と思っていただけたら幸いです。

では、次回の風水記事もご期待ください。

風水で、誰もが幸運になれますように。

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