#【易占・お悩み相談門塾】不倫・略奪愛のご相談
【易占・お悩み相談門塾】最愛の彼とどうしても結ばれたい――不倫・離婚・略奪愛という壁に挑む女性。将来の可能性を覗くツールとして、古代中国の王たちが編み出した卜占(ぼくせん)・易(えき)。
奥さんは不倫に気づいている?
彼と奥さんが離婚し、結婚できる可能性は?
日々見舞われる数々の選択。常に一つの道にしか立つことのできない人生。あなたが不安や疑問をくぐり抜ける門を、ここに開設いたします。
不倫に悩む今回のご相談者様
相談者・サヤカ(仮名)さん、35歳の女性。約2年ほど前から妻子ある男性と不倫関係にあるとのこと。
彼は医薬品メーカーの営業部長。妻も化粧品販売店で管理職をこなすやり手で、高校生になる一人息子がいる。すでに家庭内部は妻の独壇場。
夫婦仲が壊れていることは顕然としていると聞かされていたため、サヤカさんも彼との結婚を現実のものとして考えはじめていました。そして二人とも、新しく授かるかもしれない子どものことも描いていて、あまり足踏みはしたくない様子。
彼も、息子は成績優秀で、大学進学もなにも杞憂(きゆう)はないし、卒業まで待つこともない――と、大きく身を乗り出していたように思えたのですが……。
不倫、略奪愛に付きまとう罪悪感を振り払って二人の関係を肯定とするには、唯一、家庭の内情を知る彼の主動にかかっている。
また過去にそれぞれ違った理由で道が途絶えた恋を思い出しては、絶対という世界はここにはないんだ、とも思うサヤカさん。
唇を噛んで日々心痛を募らせてゆく彼女に、易占はどういう解決の灯を点(とも)してくれるでしょうか。
占断予備知識
周易で占っていきます。
①大成卦(たいせいか)の意味に照らし合わせます。
結婚について質問したのに、「軍隊」や「井戸」など、一見関係なさそうな六十四卦が出るときもありますが、一つの事物に囚われることなく、質問の背景に含まれている共通項などから探っていきます。
②①に加えて、より細かな意味を爻辞(こうじ)に探ります。
質問がある人物のことを尋ねている場合、爻の位置がその主体であるとして考えます。爻を含んでいる八卦がなんであるのかも重要ですし、場合によっては、得爻以外の爻辞も参考にします。
③最後に之卦(しか)も見ます。
得爻の陰陽を逆にして得る卦のことです。今後、移り進む状態を表しているとされるものです。
④必要があれば、裏卦(うらか)も見ます。
裏卦は、得卦の六つすべての爻の陰陽をひっくり返した卦のことです。過去の状態を表しています。
私(占者)は、道具は四面サイコロを七つ使って、略筮法でやっています。やり方、道具に特に優劣はありません。
六十四卦の例――不倫・恋愛
相談者からの質問の前に、不倫など恋愛に関して占ったときに出やすい六十四卦を少しご紹介します
火風鼎(かふう・てい)
鼎(かなえ)というのは鍋のような役割で、古代中国で使われていた器物です。取っ手のような耳がついていることと、ずんぐりとした胴、三本の足が特徴です。
この卦が出たとき、三角関係を表している場合があります。鼎の三本足から来ています。
このように、卦の意味とは別に、卦が表している物体や生き物の特徴なども占断の材料になることがあります。本当の意味は、食べ物を煮込んで供することから、人を養い育てるとか、時間をかけて完成されていく物事などを表しています。
天風姤(てんぷう・こう)
悪女、女難を表すとして有名な卦です。
相談者が男性の場合に当てはまります。女性からの相談で、「あなたが強すぎる(問題がある)」という場合、坤為地の上爻、風天小畜の上爻、山水蒙の三爻などは出ますが、この卦が出たことはありません。
陰爻が一番下にたった一つ。これを女性に見立てていて、「五人の男(陽爻)を手玉に取る」というような物語になっているわけです。この卦が示している女性はたしかに気品ある女性ではなさそうですね。また思わぬ出来事に遭遇するという意味もあります。
雷風恒(らいふう・こう)
恒常性を表している卦なのですが、嫉妬心や相手に対する強い欲求などを表すときによく出ます。
欲に関しては「雷地豫(らいち・よ)」という卦もあるし、節度に関して言えば「水沢節(すいたく・せつ)」という卦もあるのですが、恒卦は、日常とか家庭とか夫婦といった意味を担っているので、男女関係のことはこちらの卦の方が出やすいです。
相談002 サヤカさん 35歳女性
問一 奥さんは不倫に気づいていますか?
得卦「水雷屯(すいらい・ちゅん)」、得爻九五。
屯卦は、十干の「乙(きのと)」に似ています。まだひ弱な時代の植物の芽。これから広く世の中へ新出してくときに難関は当然あるわけで、「前途多難」だけれども「将来有望」という解釈がよく知られたところ。
九五が奥さんですね。坎卦は深い穴。それに落ち込んでいる最高位の人。
爻辞は「民に恵みを十分に与えられないでいる」。
イエス/ノーで答えられる質問を象徴で解くなんて……と思いますが、唯一当てはまっているのが、奥さんの独立していそうなポジション。六つの爻では、上爻ではなく五爻が一番上位の人になるのです(上爻はそこからもっと経過して、退位した人)。
家庭か仕事かどちらかに置かれている状態と思われます。家庭と見るのが無難。交際相手の男性からの情報がなくても、家庭内部は女性が握っていると考えても無理はないです。文章からの解釈が難しいと感じる方もいらっしゃると思うので、後の章で少し解説しています。併せてご覧いただければと思います。
占断:
奥さんは家庭もしくは仕事で忙殺されていて、精神的に余裕がないことが推測されます(体調を崩しているという可能性もある)。
坎は「暗い」という意味もあるので、夫と、あなたのことがくわしく見えていないのでは。しかし、なにかが動いている兆しは感じている。之卦は「復」なので、やがては平常に戻り、力を発揮できる状態に回復します。
問二 彼は私をどう思っている?
得卦「沢天夬(たくてん・かい)」、得爻九四。
これも質問者を主体とするものではないですね。通常なら、サヤカさんが「天」であり、彼が「沢」となりますが、「彼はどう思っているか」なので、逆とします。
夬卦は「小人(しょうじん:小人物・俗物などの意味)を朝廷に突き出して断罪する」ようなこと。古代の話ですから、物騒ではありますが、「決死行」とか「首を斬る」といったニュアンスもあります。
今まさに二人は苦しみを断ち切る作業、大事を決するところへ来ています。これを見る限り、強気にまくろうとしているのは彼(下卦・乾なので)。しかしサヤカさんの方が四爻と今一つ頼りない心持ち。爻辞は「弱腰で、逡巡している。それならば仲間を頼って共に行動すればいいだろうが、その助言を聞き入れられるかどうか」。
占断:
自分を信じてついてきてくれればいいのに、なにを迷っているのだろう――というのが彼の心の声。また二人の間で話し合い、意思伝達がうまくいっていないことはないでしょうか。少なくとも彼の中で、「話を聞いてくれない」「協力してくれない」といった疑念が生まれている可能性があります。
二人は今後、力を合わせて進むとしても、困難が伴った長く待たなければならない時間があります(之卦の「需」)。どう思っているか? と探るよりは戦友であるという気持ちに変えて、話し合われることをお勧めします。
問三 彼は離婚する気があるのでしょうか?
得卦「沢山咸(たくざん・かん)」、得爻六二。
易学では、陰と陽の二つのエネルギーが逢い作用することで創世の蓋が開くとしていて、八卦にしても爻にしても、陰と陽でセットとなることが一番良い形です。
物質として形を持っている陰は重力に従って低きへ。形を持たない陽のエネルギーは蒸気のように空へ昇っていきます。なので、下卦が陽(乾、震、坎、艮)、上卦が陰(坤、離、巽、兌)となっていると、その六十四卦は福徳があるように記されています。
サヤカさんと彼の関係は、夫婦の離婚という形がなければ公的にスタートできないという苦しさがありますね。つまり、今は止められているということです。
咸卦は、男女が出会う形として成立しているので、その意味では吉相です。目に見えないフィーリングで引き寄せ合うような、磁力に似た動きが爻辞で語られています。
二爻「膝下が動こうと持ち上がっているが、動かぬ方がいい。自然に任せるのがいい」。良い意味の卦であるのに爻辞にははっきり吉がない。ここに深い意味を見たいと思います。
咸卦は、六十四の時間の中の折り返し、真ん中辺りにある卦なので(順番が振られていて、咸卦は31番目になります)、再びのスタートラインとも考えられています。創世は混沌から始まっている。生地をこねている段階で「脈動」はあるけれど完成品(吉)の形は目前にはない、と言えばわかるでしょうか。
九星気学でもそうなのですが、艮卦(下卦)は暗闇の中で夜明けが蠢いている感じ。でも、無言の山であり、夜としては見た目「止まっている」。
占断:
気持ちは十二分にあると言えます。事情が公然たる行動を許していない。この場合、留まっている方が得策です。
之卦が「大過」なので、今後しばらくしたら、嫌でも行動せざるを得なくなるでしょう。もし彼が勇み足気味であるなら、逆に状況を察するように提言した方がいいかもです。
問四 彼と奥さんは離婚しますか?
得卦「乾為天(けんいてん)」、得爻上九。
天は最も高いもの。昇るエネルギーですので、立身出世を表す卦です。サヤカさんは奥さんの顔も知らない、家庭も覗き見てはいないので、あくまで想像になりますが、こちらのご夫婦は並みならぬ努力を重ねて(裏卦・坤為地)、ある程度まで華美を尽くすほどのものは築き上げたのじゃないでしょうか。
お二人の職業的な地位の高さも、息子さんの優秀さも、その努力を裏付けています。充足や完璧を目指せたから駆け上がったに違いありませんが、いつか失速は必ずあるものです。
上爻は「昇りつめて降りる手立てなき竜、(これ以上動けば)後悔がある」。どんな卦でも上爻が出たら、先がないということなので時間がやむか、変化するしかありません。もちろん乾卦には着地点がありませんから、この場合は之卦が次に渉っていく場所でしょうか。問二でも見られた、決断を表す卦。
占断:
彼と奥さんは現在、行き詰まり状態にあります。改善へ向けては、強行策が取られるかも。離婚へ向かう可能性は高いと思います。問題が吐き出されるでしょうから、しばらくごたごたするかもしれません。
問五 彼と私の将来はどうなりますか?
得卦「天地否(てんち・ひ)」、得爻六二。
問三の咸卦と逆で、下が陰卦(地)、上が陽卦(天)で、お互いが逢うことなく離れていってしまいますので、「通らない」と言われる否卦です。ただ、私の今までの占筮経験からいくと、否卦は「不在で連絡が取れない」とか「現在品切れで手に入らない」といった割合に瑣末な、形而下的な問題の際によく出ていた卦で、「ほんの一時(いっとき)の不通」と受け止めることがほとんどでした。
易者の感覚や修学レベルで理解するので、他の方が占うと違うこともあるでしょう。
本来は、戦争で荒れた世とか、大不況とか、現在のコロナ禍のような災害といった、暗黒時代を象徴するためにこの卦は存在しているのかもしれないですが、私が身近なことを占うだけで事足りる平和な世界に住ませてもらっていることと、「君子の正しさが通用しない」というのも否卦であれば、聖人君子のような立派な人は世の中が暗くても精神は常に正しさを失わない。
逆に世が安定していても、精神が苦しい状況というのもある。なので、苦難は坎卦が表して、「天地否」は人の精神状態に関わらない外の世界の目に見える難事を表すものと理解しています。
二爻は「塞がっているときにも正しさを受け容れているならばよい」。
之卦の「訟」は裁判そのもののような気がします。易は常に移り変わることが前提なので、否卦はイメージはどうあれ、それほど恐れる状態ではないと思います。
占断:
現在は道が見えていません。信じて待つというのが最善の方法かと思います。ご夫婦の間で離婚へ向けての話し合い、もしかすると裁判が行われる可能性があります。
彼も彼の奥さんも、地位的にお金に困っている方ではありませんし、彼の「夫婦関係は破綻している」の言を信じるならば、サヤカさんが破綻させたものではない、ということ。
また問一の状況から、不倫の証拠を掴んであなたを訴える――といった奥さんの動きがあるようには思えません。金銭面での話い合いがあり、それが落ち着くまでは、ということではないでしょうか。
ご自身の生活を守ることで、平静に過ごすように心がけてください。
占断に迷ったら (How to read)
古代の漢文が現代日本語に訳されて解説されてあったとしても、「童観す。小人は咎なし。君子は吝。」(観卦、初爻の辞)という結果が出て、それで、一体どうなると言われているのだろう……さっぱりわからない、ということはままあるんじゃないかと思います。
ここからは、ご自分で易占をやっていて、なかなか難しいと感じておられる方に、決断を下すときのやり方を少しお話ししたいと思います。
周易は言葉で占うものです。しかし言葉は曖昧であり、ときに「どうとでも取れる」「正反対の意味でも通じてしまう」という欠点があります。
これが占断を悩ませる原因になっていると思うのです。
古代の王様(文王と周公と言われている)が作ったと言われる文章ですから、現代の感覚と合わない文化が描かれている背景もあります。
そこで、結果を判断するときに、質問の内容を周易の背景に寄せる、ということをやります。
周易は、古代の王や政治家が、国の成長発展のために使っていた占いです。なので、すべての質問を「国」を主体にしてしまうのです。
例えば今回の相談者・サヤカさんの質問「奥さんは不倫に気づいていますか?」の場合、
「敵国はこちらの状況を見抜いているか?」という質問に変えます。
なんだかふざけているようにも思えますが、群雄割拠の時代には、中国でも日本でも、戦争の勝敗一つで世の中がひっくり返るという緊迫した局面がいくらでもあり、まさに命がけの舞台でも占いが使われていたはずです。
質問を個人にした場合、「こうなってくれたらいいのに」とか「きっとこうじゃないだろうか」といった、占う側の情や雑念のようなものが入り込む可能性があります。
それを国や戦争といった、私たちの日常からかけ離れた質問に変えることで、情を締め出して冷静な一個の質問として見ることができるわけです。
問一の答えは屯卦の九五でした。「その膏(あぶら)を屯す。小貞は吉。大貞は凶。」(『易』本田濟・著より抜粋)が易経に載っている爻辞です。
意味はすでに挙げたとおり。
交際相手の奥さんの状態を表現している言葉としてはとてもわかりにくいものですが、国として考えるとどうでしょうか。そのような状態のときに「食えない主君だ、こちらの手をすべて見抜いているな」とはならないはずです。
「気づいていない」とここではっきり言えるようになります。あとはどうしてこれが奥さんの状態を表す卦として出たのか、周辺情報を相談者から聞き出すなどして推理していけば、より細かな占断ができるようになるでしょう。
もう一つやってみます。
問四「彼と奥さんは離婚しますか?」。こちらも、イエス/ノーで答えるべき質問になっています。
タロットカードの場合、正位置をイエス、逆位置をノーとするようですが、周易の場合はそのような占い方はあまりしません。
良い意味合いの卦が出たらイエス、悪い意味の卦ならノー、とすることもできますし、陰陽があるので、陽をイエス、陰をノーとできなくはないです。
ただ、はっきり吉凶の言える段階ではない卦もありますし、陰爻であっても二爻や五爻など位に就いていれば他の位置にいる陽爻よりも良いと言われるものもたくさんあります。
易はいわゆる「万変の科学」なのですから、その冥利を味わうのが魅力であり、方術に固執するよりは見せてくれた徴(しるし)に対して、人間が思考して工夫して実行する――というのが良いと思います。
質問を工夫して言い換えると「相手国の状況は? 破綻の兆しは?」などになると思います。
躍動し、発展するという意味の乾卦の上爻ですから、発展は終わりを迎えます。これが家庭・夫婦だったら、と考えます。
イエス/ノーははっきり言っていませんが、おのずとわかると思います。
答えと言えない答えが出たときは?
最後に問五ですが、将来のことを尋ねましたが、「道が塞がっている」という答えでした。
これが「商品の入荷」程度の質問でしたら、「入荷は未定」で別段困ることもありません。が、実際は「二人の将来」と訊いているのですから、まるでお先真っ暗のような気がして後味が悪いかもしれません。
これは「混沌」のような状態を表していると思われます。宇宙が形作られる前の段階のことです。目に見えない陽の気に、陰が交ざり合って、すべての形が生じ目の前に現れることになっています。そこにまだ至っていないということ。
質問をしている本人(サヤカさん)が将来を見ようとしているわけですから、もしかすると、彼女の中で不安定な心の状態があり、そのせいで将来に靄(もや)がかかっているのではないかと推察します。
質問しつつも「知りたくない」や「答えによっては行動が変わるかもしれない」といった状態です。なので、「状況を見て現在は少し待った方がいい」というのは、将来を考えるのも、少し後になってからの方がいい、ということです。これが答えになります。良いとも悪いとも言ってはいません。
このような答えが出ることもありますが、ご本人が歩いている道になるので、占いの力がそれを凌駕して、分を越えた役割を発揮するというのはあり得ません。
私たちは下手をすると、占いにそのような力を期待する弱さ、ずるさがあります。ですが、やはり「なにもかも判る」ということまでは希望しない方がいいでしょう。
なんらかの導きのヒントが与えられたら、それを最大限に活かしてよりよい歩み方をしていける――という力があってはじめて占いを利用できるのだと私は考えています。
今回の問五のような場合、ある程度時期を経て、心が状況ときちんと向き合えるようになってからもう一度質問し直すという手もあります。
まとめ
以上が今回の占断になります。
経済問題、感染症、自然災害……私たちがいくら知恵を絞っても手に負えないと思える困難な状況は、世にいくらでも生み出されていくように感じ、本当に不安が消える時間がない気がするものです。
でも、時代は違っても、易占を創り出した先人たちは、人間が常に苦しみに立ち向かわなければならないことがわかっていたのでしょう。
その知恵を絞り出そうとする不屈の精神には尊敬を覚えます。また機会があればご紹介したいと思います。